自筆証書遺言は、遺言者が自らの手で作成する遺言書の形式の一つです。民法の定めに従って作成することで法的な効力を持ちます。簡便に作成できる一方で、作成時の不備や保存方法に注意が必要です。
特徴と要件
- 全文自書
遺言者が遺言内容の全文を自筆で書く必要があります。これは、遺言が遺言者本人の意思に基づいて作成されたことを明確にするためです。
- パソコンやタイプライターでの作成は無効。
- 読める字であることが求められるが、特別な形式や美しさは不要。
- 代筆も無効です。
- 日付の記載
遺言書には作成日を特定できる形で記載しなければなりません。
- 例:「2024年12月12日」
- 「令和〇年〇月〇日」の表記も可能。
- 「2024年12月」「12月吉日」など不確定な記載は無効。注意が必要です。
- 署名と押印
遺言者本人の署名と押印が必要です。
. 署名
遺言書には、遺言者本人の署名が必要です。
- 氏名のフルネームで署名するのが基本です。
- 通称やニックネームの使用は、本人確認が困難になる可能性があるため避けるべきです。
- 手書きで署名する必要があり、印字やスタンプは無効です。
.押印
署名に加えて、押印が必要です。
- 認印でも有効ですが、信頼性を高めるために実印を推奨。
- 押印がない場合、形式不備により無効になる可能性があります。
押印する際には注意が必要
- 押印の位置は署名の近くに行うのが一般的です。
- 押印後に改ざんされるリスクを避けるため、しっかりと押印することが大切です。
- 財産目録の例外
財産目録部分については、自筆でなくても作成が可能になりました。
- 財産目録はパソコンで作成、または通帳、不動産の登記簿謄本のコピーなどを添付することが認められます。
- 財産目録には署名押印が必要です。
自筆証書遺言の訂正方法
作成中に誤字や内容の変更があった場合、訂正方法も法律で定められています。
- 訂正箇所を二重線で消す
- 訂正箇所の近くに訂正内容を記載
- 訂正部分を明記
- 訂正箇所に署名し、押印
自筆証書遺言の法的効力を保つためのポイント
- 遺言書を作成後、信頼できる場所に保管する。
- 家庭内の金庫や信頼できる第三者への預託。
- 法務局保管制度の利用を検討する。
- 定期的に遺言内容を見直す。
- 専門家に確認を依頼する。
- 法律に詳しい専門家の行政書士に内容や形式を確認してもらう。
以上の要件を守ることで、自筆証書遺言を有効かつ適切に作成することが可能です。遺言内容の不備や形式ミスによる無効化を防ぐためには、慎重に作成する必要があります。また、専門家のアドバイスを受けることも重要です。当事務所は、数多くの遺言書作成に携わっているので、一度ご相談下さい。