証券口座の手続きについて
前回は、銀行口座の相続手続きについて説明しました。今回は、証券会社での相続手続きについて、説明します。証券会社によって手続きの流れや必要書類が異なる場合があるため、具体的なケースに応じて柔軟に対応してください。
- 証券会社への通知と初期確認
- 証券会社への連絡
故人が口座を保有していた証券会社に、故人の死亡を通知します。通常、証券口座は死亡後に凍結され、以降の取引は停止されます。
- 証券口座の情報確認
証券会社は、故人の保有資産の概要(株式、投資信託、債券など)や口座情報を教えてくれます。
- 資産内容の確認は、正式な手続きが進むまで制限される場合もあります。
- 必要書類の準備
証券会社から指定された書類を揃える必要があります。以下は、通常必要とされる書類のリストです。
基本書類
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続証明情報
- 相続人全員の住民票
口座に関する書類
- 故人の証券口座情報(証券会社の取引番号や口座番号が記載された通知など)
- 相続人名義の証券口座情報(相続資産を移管するため)
遺言書や遺産分割に関する書類
- 公正証書遺言書や検認済みの遺言書
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印が必要)
- 相続人全員分の印鑑証明書(遺産分割協議書用)
- 証券会社での手続きの流れ
証券会社に書類を提出した後、以下の手続きが行われます。
1) 書類確認
提出した書類をもとに、証券会社が相続人の確定と相続割合を確認します。書類に不備がある場合、手続きが進まないため慎重に確認してください。
2) 相続資産の確認
証券会社が保有する故人の資産内容(株式、投資信託、債券など)の詳細が相続人に共有されます。
3) 遺産分割協議の反映
- 遺産分割協議書に基づき、資産が相続人に分配されます。
- 相続人ごとに指定された証券口座に資産を移管する手続きが進められます。
4) 特定商品に関する手続き
- 株式:相続人名義に変更するか、売却して現金化するか選択できます。
- 投資信託:移管や解約が可能です。
- 債券:満期まで保有するか、売却するか選択できます。
- 資産の移管と売却
資産の移管
- 各相続人の証券口座へ直接資産を移管します。証券会社ごとに移管手数料が発生する場合があります。
資産の売却
- 相続人間で合意があれば、資産を売却し現金化して分割します。
- 売却時に譲渡所得税が発生する場合があるため、税務処理を確認してください。
- 手続きの注意点
- 相続税
相続した資産が基礎控除額を超える場合、相続税申告が必要です(基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数)。
- 株式の名義変更期限
株式の名義変更には期限が設けられる場合がありますので、早めに手続きを進めましょう。
- 海外資産や国際取引
海外の証券口座に関連する場合、別途手続きが必要です。
証券会社ごとに独自の手続きがあるため、具体的な指示を確認しながら進めてください。また、状況に応じてご不明点があればサポートを提供できます。