紀州のドンファン

紀州のドンファン遺言書は有効と判断された
 遺言書の事といえば、紀州のドンファン事件を思い出します。大きな争点となっていた遺言書に関して、和歌山地裁が有効との判決を下しました。
この遺言は野崎さんが元妻と会う前の平成25年の日付で、コピー用紙1枚に赤ペンで「いごん 個人の全財産を田辺市にキフする」と書かれたものです。それをめぐって親族(兄たち)4人が無効との訴えを起こしていました。
訴えの理由として「大の役人嫌いだった弟が田辺市に寄贈するなど考えられない」や、コピー用紙に赤ペンで手書きしたもので保管場所も不自然、さらに筆跡が別人だとして鑑定書を地裁に提出。「野崎」の「崎」の字が極端に長く続け書きされていて、生前に書いた「崎」と比較すると形状や書き方が異なる。また他の字の書き順や癖も異なり、透写により偽造された可能性が高いなどと指摘しました。

これに対し田辺市も生前の本人の自筆とされる督促状の署名や手紙、また公正証書などを提出して本人の筆跡を立証しようとしました。さらに「野崎さんは生前に複数回にわたり、計1200万円の財産を市に寄付していた」と遺言の正当性を主張しました。
その結果として、判決では原告側が提出した筆跡鑑定書には不合理な点があると指摘。 また野崎さんは生前、地元田辺市の発展を望むと発言していたことや、周囲に兄弟との関係が良くないため財産を譲りたくないと話していたことなどから、最終的に遺言書は野崎さんのものと結論付けました。
 
 

親族側の代理人弁護士は「判決文には内容や理由付けに不合理と思われるところが多くある」として控訴も検討すると話していることから、裁判はまだ続く可能性もあり予断を許さないところです。しかし仮に遺言書が偽造されたものとした場合は、では田辺市への遺贈によって誰が得をするのか考えると、現実的にはそのことで利益を得る関係者はおらず偽造の可能性は少ないように思われます。
遺言書が無効の場合は法定相続により配偶者が3/4、兄弟が1/4の割合ですが、有効の場合は配偶者は遺留分として3/8(3/4×1/2)受け取れます。したがって元妻には利益はあります。この遺言書は野崎さんが生前に経営していた会社関係の男性に平成25年に預けていたものであり、当時はまだ元妻と会う前だったことを考えると、彼女が偽造したと考えるには無理があります。
遺言書を預かっていた男性は、野崎さんから「まだまだ死ぬつもりはないが、万一の時には自分の財産を郷里の発展のため役立ててもらいたい」と電話があったとも証言しています。そのようなことを総合的に考えると、やはりいくらコピー用紙一枚に「いごん」とボールペンで書かれたものだとしても、それが偽造されたとするには根拠が乏しく、裁判所の有効との判断はきわめて妥当なものと言えるようです。

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