100年前に移住した曽祖父の土地、相続人はブラジルにいた!
【概要】
相続の依頼を受けたのは、ある日本の地方都市にある空き地の名義変更手続き。しかし調べてみると、登記名義人は“すでに100年前にブラジルへ移住した曾祖父”のままでした。
【登場人物】
- 登記名義人(曾祖父):1910年代にブラジルへ移住。現地で家庭を築き、日本には戻らず。
- 相談者(日本在住):曽祖父の土地が放置されていると知り、固定資産税も発生していたため、何とかしたいと行政書士に相談。
- 相続人(ブラジル在住の孫たち):日系ブラジル人で、スペイン語とポルトガル語しか話せず、日本語は理解できない。
【発覚した問題】
- 名義人死亡の事実を証明する「死亡証明書」すら日本に存在しない。
- 相続人がブラジル在住で、代々の相続関係を証明するのにブラジルの戸籍制度や書類翻訳が必要。
- 相続人たちと連絡が取れない。言語の壁、距離の壁、文化の壁!
【解決のためのステップ】
- 法務局で登記情報の確認
- 登記名義人が明治生まれの人物と判明。かなり古く、相続人の特定が困難と予想。
- 戸籍の収集
- 曾祖父の出生からブラジル移住前の除籍謄本をすべて収集。
- 曽祖父が移住後に日本国籍を喪失したことが判明。
- 現地での出生・死亡証明の取得
- ブラジル大使館を通して、現地の出生・婚姻・死亡記録を収集。ポルトガル語の書類をすべて日本語に翻訳・公証化。
- 相続人との連絡・意思確認
- ブラジルの日系人協会や、現地の行政書士(相続専門)と連携して、孫・曾孫のうち代表者1名を選任。
- 日本語ができないため、ポルトガル語による「遺産分割協議書」と意思確認書を作成。
- 遺産分割協議書の締結・印鑑証明
- 相続人全員の署名・拇印、現地の公証人による証明を受けて書類完成。
- 日本の法務局で相続登記申請
- すべての書類を添えて登記完了。100年越しに名義が新しい相続人へ移転された。