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帰化前の戸籍を取り寄せるのに大苦戦!〜韓国籍だった依頼者のケース〜
「帰化する前の戸籍を取りたいのですが…できますか?」
ある日、50代の女性Aさんからこんなご相談がありました。Aさんのご主人が20代の頃に韓国籍から日本へ帰化され、すでに30年以上が経過しています。今回、ご主人のが亡くなられたので戸籍を取得する必要があり、「帰化前の韓国の戸籍を自分で取得したい」とのことでした。
しかし、ここからが本当の戦いの始まりでした。
Step1:どこに請求すればいいのか分からない!
まず最初につまずいたのが、「そもそもどこに何を請求すればいいのか分からない」という点。日本人の戸籍なら本籍地の役所に請求すれば済みますが、韓国籍時代の戸籍(=除籍謄本や家族関係証明書)は韓国本国で管理されています。
Aさんは「ご主人が韓国の○○市出身だった気がする」と記憶をたどるも、正確な本籍地や住民登録番号は分からず。結果として、韓国の本籍が不明な状態では、韓国の役所も対応できません。
Step2:韓国領事館への相談
次に、大阪にある韓国領事館を訪問しましたが、本人確認のために必要と言われたのが、
しかしAさんは、ご主人の外国人登録証をすでに紛失しており、当時の控えも残っていません。
さらに、帰化後の名前でしか現在は記録が残っていないため、「韓国名と日本名が同一人物だと証明する書類」が不十分だと判断され、門前払いに近い状態に。
Step3:法務省へ外国人登録原票の開示請求
そこで、最終手段として法務省へ外国人登録原票記載事項証明の開示請求を行いました。
これには本人確認書類に加えて、なぜその情報が必要かという理由書も必要。
数週間の時間を要したものの、ようやく帰化前の韓国名・生年月日・旧本籍地の記録を取得することができました。
これをもとに、再び韓国領事館へ。ようやく、韓国の家族関係証明書を取り寄せる手続きに進むことができたのです。
Aさんは「こんなに大変だとは思いませんでした…」と、少し疲れた表情で語ってくれました。
戸籍というのは、国籍や制度によって管理方法が全く異なるため、**「自分の戸籍なのに取れない」**という事態は珍しくありません。