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農地の相続
農地とは、田んぼ、畑、山などの農業用の土地のことをいいます。農作物をつくる土地として重要であるとの観点から、カンタンに用途変更や売却ができないよう農地法で定められています。このため、通常の不動産とは異なる手続きが必要であり、売却するのも容易ではありません。農地は宅地と違って面積が広いため、相続して引き続き農業を営む場合には相続税の特例が設けられています。
2.農地を相続するメリット・デメリット
2-1.農地を相続するメリットと注意点
農地を相続する際の最大の利点は、その農地を活用して利益を得られる可能性があることです。
まず、相続した農地で自ら農業を行い、米や作物を育てることができます。また、地元の農家と連携したり、地域の特産品を育てたりすることで、地域活性化への寄与が可能です。ただし、農業を行うには機械や設備への投資、維持管理費が必要です。さらに、収穫までには手間や時間がかかるため、未経験者が始める場合は採算が取れないリスクも考慮しなければなりません。
相続した農地を自分で利用せずに、近隣の農家や市民に貸し出すことも可能です。この場合、原則として所有する農地の農業委員会に許可申請が必要です。借り手を見つけるのが難しい場合は、市区町村の窓口やJA(農業協同組合)に相談すると、仲介をしてくれる制度があります。手数料が差し引かれることもありますが、賃料を得ることができるメリットがあります。
また、農地を売却して利益を得ることも選択肢の一つです。ただし、都市部のマンションなどの不動産とは異なり、農地は需要が限られています。該当地域の農地の需要については、不動産会社に相談することをおススメします。事前に、地域の市場動向や価格設定についてアドバイスを受けることが重要です。
2-2.農地を相続するデメリット
農地を相続する際のデメリットとして、管理や維持の難しい点などが挙げられます。
農地を相続した場合、農地を放置し続けることはできません。畑を放置すると、鳥獣被害が発生したり、近隣の農家に迷惑をかけたりすることがあります。そのため、雑草や害虫の駆除などの定期的な管理が必要です。
また、農地を貸し出したり、駐車場など他の目的に転用したりしたとしても、期待どおりの利益が得られない場合もあります。固定資産税などを支払うことで、負の遺産となるリスクがあります。
最近では、農業を営む人が減少しています。自分が農地を引き継いでも、自分が亡くなったときに農業を継承したい相続人がいない場合、農地は負の遺産となる可能性もあります。このような状況では、相続人に対して負担をかける場合があります。